第1回 イントロダクション
公開日: 2016年6月7日火曜日
ジョージ・ワシントンの死因
1799年12月12日、米国初代大統領ジョージ•ワシントンは馬に乗って、自宅周囲の見回りをしていました。とても寒い日だったようで、翌朝、彼は体の不調を訴えました。化膿性扁桃腺炎を罹ったのです。
その後、これが喉頭炎と肺炎に変わり、瀉血(しゃけつ)という治療を2日間うけたもの、12月14日67歳で自宅にて死去したそうです。
その後、これが喉頭炎と肺炎に変わり、瀉血(しゃけつ)という治療を2日間うけたもの、12月14日67歳で自宅にて死去したそうです。
瀉血はギリシャ医学に端を発した治療法で、当時の西欧医学では主流でした。病気の原因は病んだ悪い血液であるため、このような血液を排除することを治療としたのです。
ワシントンは2日間で2.5リットルの血液を瀉血されたそうです。現在では、このことが彼の死亡の原因ではないかと考えられています。
ワシントンの死後から10年後の1809年、スコットランドの軍医ハミルトンが行った臨床研究で、瀉血を受けた患者の死亡率は10倍にのぼることがわかりました。これを機に瀉血に対する批判が広がり、徐々に通常医療から退場して行きました。
現在、私たちが日常的に行っている歯科治療のなかにも、瀉血と同様な例がないとは限りません。
現代の私たちにできることは、臨床判断を行う際に、「現在利用可能なもっとも信頼できる情報」を用いることです。この概念こそが “EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)”であって、90年代終盤にサケットらによって考案されました。ワシントンやハミルトンの時代から約180年後のことです。
EBMをアップデートしよう
この20年の間、“自分が行っている治療行為を肯定する英語論文を探し、引用すること = EBM”という誤った概念が広まりました。このような考え方は医療者を正当化するものであり、患者のための行為とはいえません。
- 歯科診療においてEBMなど必要ない
- 歯科領域でEBMなど不可能だ
また、 EBM 自体もこの20年間、創成期には考えつかなかったようなさまざまな問題点に遭遇し、患者中心の医療の実現にむけて、よりよい方法を模索してきました。EBM自体も進化してきているのです。
このような点から、「今ドキEBM」をただしく理解することが求められています。
「今ドキEBM」は3つの基本的な原則で構成されています。この3原則を理解することが、EBM実践のファーストステップといえます。
次回から、この3原則についてより詳しく説明して行く予定です。
皆さんも一緒に、EBMをアップデートしてみませんか?
皆さんも一緒に、EBMをアップデートしてみませんか?
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